ユダヤ教徒の多くは新約聖書を正式な聖典とは認めておらず、一般的に**「キリスト教聖書」(כתבי הקודש הנוצריים, Kitvei HaKodesh HaNotzrim)** や 「ギリシャ語聖書」(הברית החדשה, HaBrit HaChadasha) と呼ぶことがあります。
ただし、「HaBrit HaChadasha(新しい契約)」という呼び方は、キリスト教的な意味合いを含むため、避ける人もいます。
Kodesh (קודש) は「聖なるもの」、Notzrim (נוצרים) は「キリスト教徒(ナザレの者)」という意味です。
現在のユダヤ人は旧約聖書のことを「旧約」というニュアンスでは呼びません。彼らは主に以下のような言葉で旧約聖書を指します。
1. タナハ(Tanakh)
ユダヤ教の聖典全体を指す正式な名称で、以下の3つの部分から構成されます。
トーラー(律法): モーセ五書
ネビイーム(預言書): 預言者たちの書
ケトゥビーム(諸書): 詩篇や歴史書など
これらの頭文字(T, N, K)を取って「タナハ」と呼んでいます。
2. 聖書(HaTanach または Mikra)
単に「聖書」と呼ぶ場合もあります。ユダヤ教においては、これは唯一の神聖な書物を意味します。
ユダヤ人が「旧約」と呼ばない理由
「旧約聖書(Old Testament)」という表現は、キリスト教が「新約聖書」との対比で用いる言葉です。しかし、ユダヤ教には「新約」という概念がないため、「旧約」という表現は使いません。むしろ「タナハ」という言葉を用いることで、ユダヤ教の伝統や独自性を強調しています。