福音書

考古学的には、新約聖書の中に12使徒が書いたと考えられる書物はありますか?名前が12使徒のものでも後代の弟子の著作ですか?

考古学的および歴史学的な観点から、新約聖書に収録されている書物のうち、「12使徒自身が書いた」と直接確定できるものはありません。

新約聖書の著者として伝統的に12使徒の名前が付けられている書物でも、後代の弟子や信者によって執筆された可能性が高いと考えられています。

以下に主な例を挙げます。

1. マタイによる福音書

伝統的見解: 使徒マタイ(徴税人)によるものとされている。

考古学的見解: 原型がアラム語またはヘブライ語で書かれた可能性はあるが、現在のギリシア語版は後代の編集が加えられたとされる。

2. ヨハネによる福音書

伝統的見解: 使徒ヨハネによるもの。

考古学的見解: 執筆はヨハネの弟子たち(「ヨハネ派」)による可能性が高い。後代の神学的発展を反映している。

3. ペトロの手紙(第一・第二)

伝統的見解: 使徒ペトロ(ペテロ)によるもの。

考古学的見解: 第一の手紙はペトロ本人の影響が残っている可能性があるが、第二の手紙は後代の信者がペトロの名を借りて書いた可能性が高い。

4. ヤコブの手紙
伝統的見解: 使徒ヤコブ(イエスの弟またはゼベダイの子)によるもの。

考古学的見解: 初期のキリスト教共同体でヤコブの権威を借りて書かれた可能性がある。

5. ヨハネの手紙(第一・第二・第三)

伝統的見解: 使徒ヨハネによるもの。

考古学的見解: これも「ヨハネ派」の神学者たちによる執筆と考えられている。

後代の弟子や信者による可能性が高い理由

ギリシア語の使用: 12使徒はアラム語を母語とする漁師や労働者が多く、高度なギリシア語文献を書く能力があったかは疑問視されている。

神学的発展: 新約聖書には初期キリスト教の神学的議論や発展が反映されており、使徒の時代より後の問題を扱っている場合がある。

筆記文化の違い

使徒たちは主に口頭で福音を伝えたと考えられ、書物として体系的にまとめるのは後代の弟子や共同体である可能性が高い。

12使徒の名前が付された書物でも、実際に使徒が書いたかどうかは不明確であり、多くの場合、後代の信者や弟子によって書かれた可能性が高いとされています。

ただし、これらの書物は使徒たちの教えや権威に基づいており、初期キリスト教において重要な位置を占めています。

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